ソウルの石造博物館

ソウル市街地の北端にある石造博物館には1000を超える石造物が展示されているという事で訪れてみました。

一見、明るい雰囲気でどこにでもありそうな建物ですが、中は違います。

ここには長い韓国の歴史の中で発展してきた石の文化財(主に近世)が、大量に展示されています。それらは近代に元の場所から散逸したもので、この博物館の創設者の手によってここに集められたそうです。

一階に立ち並ぶ「文官像」。元々は王陵などの前に立ち、墓を守るために造られた石人(写真は文官)で、笏を持つ「文官」と剣を持つ「武官」がいますが、割合でいえば圧倒的に文官が多いようです。

主に日韓併合時代、物珍しさに目を付けられ、大量の石人石獣たちが墓から持ち出され日本へ入ってきたといわれます。

ここに集められている石人さんの表情には、帰るべき場所が分からなくなってしまった物悲しさが漂っているようです。

2階の童子館にも同じように、散逸してしまっていたであろう童子像が展示されています。

童子像

解説版によると「童子は道教では仙人のそばに侍い、仏教ではお釈迦さまや菩薩にそばで仕え、儒教では墓の主人のお使いをする子供のこと。童子石の形は仏教、道教、儒教、巫俗など、様々な宗教的特徴がある。その役割も墓の守護神や村の守り神など様々である。」とあります。

ポクス館の説明には「村の入口や道端にポクス(全羅道や慶尚道で村の守り神を示す名称)を建てて疫病神や雑鬼から村を守った。ポクスは長い年月が経つにつれ、村に伝わる説話や人々の情緒を反映して芸術的な美しさが加わると共に、今日を生きる我々にとって、時間と空間を超えて過去との対話を可能にする存在となっている。」とあります。

ポクス像
屋外の庭園にも多くの石人、童子が並んでいます
なんとも言えない表情に、心が和みました◎
華表も集められていました

韓国の素朴な石造文化財の数々に触れられるという意味では内容の濃い博物館です。ただ、破壊を免れたとはいえ、迷子になった石造物の少し寂しげな印象は拭えませんでした。

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