春日大社の石燈籠

春日大社の境内に立ち並ぶ石燈籠の数は日本一といわれ、また数だけでなく造りも上等です。特に近世以降、奈良の石燈籠を手本にした作が「春日燈籠」をはじめ全国的に広がります。

一般に「春日燈籠」といわれる石燈籠は、六角型で火袋に鹿の彫刻を施しています。この祓戸神社のものはその最も古い作(室町時代初期)と考えられ、春日燈籠の本歌とされています。

祓戸(はらえど)神社石燈籠

奈良の石燈籠に刻まれる鹿の場所は火袋だけではありません。下の写真の燈籠の基礎部には、体を丸めて寝ている 一対の鹿が現わされていて有名です。

基礎(台石)の鹿 無表情ですが苦しくはなさそうです

また本社から若宮へ向かう道は御間道(おあいみち)とも呼ばれ、四角型の石燈籠がずらりと整列する景色が見事です。

御間道に並ぶ石燈籠

ここからは鎌倉時代後期の石燈籠が発見され、現在は宝物館にうつされています。

御間型ともいわれる石燈籠

若宮のさらに奥へ行くと紀伊神社があり別名「奥ノ院」とも呼ばれ、まさに春日大社最奥の神社です。そこには小ぶりですが非常に凝った作の石燈籠があり「奥ノ院型」と呼ばれる形の本歌とされています(元禄14年銘)。

紀伊神社の石燈籠(奥ノ院型)

「奥ノ院型石燈籠」は中台上端の蓮弁や、側面の十二支などがその特徴です。

最後にもう一種類、特徴的な石燈籠を紹介で、注意してみないと気付けないかもしれませんが、春日大社内にはごくまれに下の写真のような石燈籠があります。これらは春日大社にある最古の石燈籠に倣い、江戸時代に作られたものです。本歌は平安時代説の遺品で、「柚木(ゆのき)燈籠」と呼ばれ国宝館に保存されています。その特徴は、蕨手の無い八角の笠と、同じく八角の蓮台式中台です。

一言主神社にある「萬延元年」の作
壺神神社にある作(年不明)
酒殿にある「正徳元年」の作

春日大社にはこれでもかというほどの数の石燈籠があり、一見どれも同じに見えますが、よく見ているとたまに小さな発見があり面白いです。また春日大社では境内の釣燈籠や石燈籠3000基に火を入れて献灯する「万燈籠」も人気があり、2月の節分とお盆に行われます。

万燈籠

奈良県は古代からの燈籠遺品があり、現代に至るまでの長い歴史を持っています。春日大社の石燈籠はそんな土地柄に相応しい圧巻の数と、その「生きた姿」も今に伝えてくれています。

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